日本地域福祉学会「地域福祉優秀実践賞」を授賞

2024年6月19日

 6月15日(土)・16日(日)の二日間にわたり東京・文京学院大学本郷キャンパスで開催の日本地域福祉学会2024年度(第38回)年次大会でタウンスペースWAKWAKが「地域福祉優秀実践賞」を授賞させていただきました。
 この賞は日本地域福祉学会が地域福祉に関する優れた実践を掘り起こし、我が国の地域福祉の一層の発展と向上に寄与することを目的として、2004年度より設立されたものです。
 授与式では地域福祉学会永田祐会長(同志社大学社会学部社会福祉科教授)より表彰状の盾を授与。藤井博志(関西学院大人間福祉学部教授)選考委員長より選考結果の講評。
 講評では「富田地域というエリアにこだわりながらエリアを越境し、地縁団体の特性を活かしたまちづくり機能に加え、より地域により広域に中間支援機能を広げている」点を評価いただきました。
 続いて、受賞団体から取り組み報告後、それぞれ推薦者からのコメント。ご推薦いただいた関西大学加納恵子名誉教授からは「被差別かつ権利を奪われている地域が抱える課題の克服を通して、その手法を一般化・普遍化してきたとりくみモデル」と過分な評価もいただきました。
 選考いただいた日本地域福祉学会関係者のみなさま、そして何よりもこれまで活動を支えていただいてきたみなさまに感謝申し上げます。ありがとうございました。
 以下、受賞選考結果の講評です。
第21回日本地域福祉学会・地域福祉優秀実践賞の選考結果について
                                   第21回日本地域福祉学会・地域福祉優秀実践賞選考委員会
                                                     委員長 藤井博志
【一般社団法人タウンスペースWAKWAK】
 -社会包摂型のまちづくり:より小地域に、より広域にー
 タウンスペースWAKWAK(以下、WAKWAK)は活動対象とする富田地区の歴史的経緯から社会包摂型のまちづくりを目的とする。本来、地域福祉で目指される地域共生社会形成とは、偏見、差別を克服する過程の中で形成されるものである。WAKWAKはそれらの富田地区の活動を受け継ぎながらも、今日的なテーマを有した地域密着型の団体である。その特徴は小地域と広域の一体的展開である。
 小地域では富田地区の誰も取り残さない地域福祉グランドデザインづくり、障害の有無を超えたボーダレスアート活動、また、この地域に特徴的な様々な課題を抱えた子どもたちへの学習支援、子ども食堂、フードパントリーなどに力を入れている。
 一方、広域的展開では地域の課題性を普遍的視点から広げるために高槻市域、大阪府域を対象にした中間支援事業を展開している。それは、子どもみまもり、未就園児のつながり訪問事業、休眠預金を活用した居場所の包括連携事業、その他、中間支援に必須である調査研究事業などである。
 このように、近年の地域福祉活動の特徴として、小地域のまちづくりにおける生活の全体性に対応しながら、そこから見えた課題を自治体域に広げる展開や自治体を超える展開がみられる。WAKWAKは「より小地域に、より広域に」にというビジョンを持った今日的な活動体である。また、ホームページを見れば、各事業の財源確保ための寄付の集め方も工夫しており、組織の自律性の高さが垣間見れる団体である。